【雛人形】雛壇の飾りやお道具の名前と意味について解説!

2021年1月19日

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雛人形が持つ飾りやお道具について、名前やどんな意味があるのかご存知ですか?
毎年のひな祭りで、意味を知らずになんとなく飾っていた方も多いのではないでしょうか。
今回は、雛壇の飾りやお道具の名前と意味について詳しくご紹介いたします。

雛壇の飾りの名前と意味はご存知ですか?

現在では、住宅事情の変化により雛人形を飾るスペースや収納場所が確保できないマンションやアパートが増えたため、コンパクトな雛人形が主流になってきました。
コンパクトになった分、雛人形の数や道具の数も少なくなり、本来の道具の意味を知らないという方も増えているのではないでしょうか。
今回は、七段飾りの雛人形が持つ道具や名前についてご紹介いたします。

一段目(内裏雛・だいりびな)の道具

雪洞(ぼんぼり)

雪洞はロウソクの火を灯す道具で、江戸時代中頃以降に広く使用されたといわれています。

三方(さんぽう)

三方はくり抜かれた穴が三つの方向で空いている台で、おもてなしの際に使われます。
三方の上には瓶子(へいし・壺の一種)に花を挿し飾ります。

金屏風(きんびょうぶ)

お内裏様(男雛)とお雛様(女雛)の後ろに立てる屏風は、部屋の仕切りや装飾、風を遮るための道具です。
その歴史は686年まで遡ります。外国への贈答品としても使われていた屏風は、日本独自の折りたたみ式の屏風として海外でも珍重されていたそうです。

二段目(三人官女・さんにんかんじょ)の道具・持ち物

高坏(たかつき)

一般的には高く足をつけた丸いお皿で、近年では四角の形をしたお皿もあります。
ひし餅やお菓子を供える器で一対にして使われています。

長柄(ながえ)

三人官女が持つ道具のひとつで、長い柄のある酒器で「銚子(ちょうし)」とも呼ばれています。
盃(さかずき)に酒をそそぐ道具で、取手部分が長くその部分を長柄というので、そのまま長柄と呼ばれるようになりました。

島台(しまだい)

三人官女が持つ道具のひとつで、祝儀の飾りを置く置物です。
島台の名前の由来として、入江の形状をした島の姿に吉祥文様が施されたことがきっかけです。

提子(ひさげ)

三人官女が持つ道具のひとつの提子は、やかんに似た形の金属製の器です。ここには白酒を入れていたと言われています。
かつては宴会の席で酒を注ぎ勧めるのに使用されていましたが、室町時代以降は銚子がお酒を注ぐ道具として使われるようになりました。
それ以降、提子は銚子に酒を入れるためのものに変わりました。

三段目(五人囃子・ごにんばやし)の持ち物

謡(うたい)が右手に持つのは扇です。謡う際に扇を構え、休みの時は下ろします。

笛・能管(のうかん)

笛は竹でできています。
唯一のメロディー楽器でありながら、打楽器のようなリズムを刻みます。笛の中に細い竹を1本はめ込んであるので、ヒシギと言われる高い音を出すことができます。

小鼓(こつづみ)

小鼓は、鼓が桜の木の胴で、その上に表裏2枚の馬の皮をおき、調緒(しらべお)という麻紐で締めあげた楽器です。
右肩にかついで、右手で打ち、音を奏でます。

大鼓(おおつづみ)

大鼓の材質や構造は、小鼓とほぼ一緒です。大きさだけがひとまわり大きくなっています。
左手で持って左膝に置き、右手で打ち、音を奏でます。

太鼓(たいこ)

太鼓は、いわゆる締太鼓のことで構造は基本的に小鼓や大鼓と変わりませんが、革は牛革で、バチが当たる部分に補強用の鹿革を使用しています。

四段目(随身・ずいじん)の道具・持ち物

懸盤膳(かけばんぜん)

懸盤膳は、お膳の高級品の型で四方の側面に大きく穴が空いており、足部分の縁に盤をのせて懸けた構造から懸盤(かけばん)と呼ばれています。
黒漆金蒔絵の装飾が施されており豪華です。

菱台(ひしだい)

ひし餅を飾るための台として使用されている道具です。

儀仗の剣(ぎじょうのけん)

儀仗とは儀式に用いる衣装で飾りとして使われた武器のことを指します。
武官の特徴というと武器ですが、刀にも刃はつけなかったようです。

儀仗の弓(ぎじょうのゆみ)・矢羽(やばね)

剣と同じく、衣装の飾りで持っていた弓と矢羽です。
弓や矢羽自体に美しい装飾が施されており、身分の位によっても色や柄が異なります。
鷲や鷹などの尾羽で大きな矢羽が作られていたそうです。

五段目(仕丁・しちょう)の道具・持ち物

橘(たちばな)

橘は、平安京の内裏内の紫宸殿(ししんでん)前に植えられた日本固有の柑橘類の木です。
実がなることより、緑の葉っぱが注目され、松と同様に1年中葉っぱが落ちず緑であることから「永遠」をたとえる植物として喜ばれました。

桜(さくら)

桜は、橘同様に紫宸殿(ししんでん)前に植えられた植物です。
現在も京都御所内の紫宸殿に植えられており、縁起の良い花として扱われています。

台笠(だいがさ)

怒り顔の仕丁が持っている道具で、台笠とは日傘のことです。

沓台(くつだい)

泣き顔の仕丁が持っている道具で、沓台とは靴を置くための台のことです。

立傘(たちがさ)

笑い顔の仕丁が持っている道具で、立傘とは雨傘のことです。

六段目(嫁入り道具)

箪笥(たんす)

かつての日本では桐の木を庭に植える習慣がありました。
女の子が大人になった時にその桐の木で箪笥を作り、嫁入り道具として持たせたという習わしが元になっています。

長持(ながもち)

洋服や寝具を入れるための長方形の容器のことです。
当初は武家で使用されていましたが、のちに一般庶民の間でも普及するようになりました。

衣裳袋(いしょうぶくろ)

表は唐織、裏は綾や正絹で華やかに仕立てています。衣装や調度品を入れるための袋なので丈夫にする必要があり、組紐を縦横にめぐらして表刺縫いで仕立てられていたそうです。

火鉢(ひばち)

中に灰を入れて暖房のように使っていた道具です。

針箱(はりばこ)

裁縫道具一式を入れるための箱で、ミシンもなく衣類など全て手づくりだった江戸時代では、この針箱は欠かせない道具でした。
針箱についている絎台(くけだい)と呼ばれる部分は、裁縫がしやすいように衣服の端っこを紐で引っ張って置くための台として使用されていました。
昔の庶民が針箱を持っていたわけではなく、裁縫をする際に絎台の変わりに脚を使って布の端っこを押さえていたそうです。その姿がみっともないことから、針箱が嫁入り道具に加わったそうです。

鏡台(きょうだい)

お化粧をするための台で、化粧品を収納する引き出しの上に、鏡をかけるための柱がついています。

茶道具(ちゃどうぐ)

茶道は武家の女性にとっては花嫁修業というより、たしなみに近い存在として扱われていました。

七段目(御輿入れ道具・おこしいれどうぐ)

御駕籠(おかご)

座る部分を一本の棒に吊るして、棒を前と後ろから担いで人を運ぶための乗り物として使用していました。

重箱(じゅうばこ)

現在でも目にする重箱は、箱を何段にも重ねていることから「重箱」と名付けられました。
室町時代には重箱を使っていたという記録があり、一般庶民に普及したのは江戸時代で、狩りやお花見など外出する際に重宝されていました。

牛車(ぎっしゃ)

牛に引っ張らせて乗る車のことで、平安時代の貴族が使っていた乗り物です。

お子様に雛壇の飾りの意味を伝えましょう

今回は、雛壇の飾りやお道具の名前と意味についてご紹介しました。
雛壇に飾る道具本来の意味を知り、お子様へと伝えることで更にひな祭りへの知識が深まり、毎年の飾りつけが楽しくなこと間違いなしです!

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※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものと異なる場合があります。予めご了承ください。


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