五月人形の屏風のサイズと選び方

2022年3月18日

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近年、コンパクトな五月人形が主流になり、各ご家庭で飾り方をアレンジされているケースも増えてきました。
例えば、鎧兜一式をお持ちの場合、兜のみでも飾る事ができますので、脇飾りをアレンジして気分を変えてみたり、
一回り小さい屏風に変えたりして変化を楽しむこともできます。その際、どんな屏風を選んだらいいのか、どんなサイズの物を合わせたらいいか
、屏風の選び方について調べてみました。

目次


  1. 適したサイズとは?

  2. 屏風を置くのはなぜ?

  3. 省スペースタイプなら三曲がオススメ

  4. 空間を演出するための屏風

  5. 飾る部屋の雰囲気やインテリアとの調和を考えて

  6. さいごに

適したサイズとは?



飾るスペースに合わせて五月人形を選ぶ際の目安として、屏風を基準に考えると実はとても分かりやすいのです。なぜなら台屏風セットの場合、屏風がいちばん大きなパーツだからです。
理想の屏風のサイズは、前に飾る五月人形が屏風からはみ出さない大きさと言われていますので、長い鍬形の場合はできるだけはみ出さないように気を付けましょう。兜が大きい場合、櫃の上に乗せなければ小さい屏風でも収めることができます。ちなみに、上の写真は10号の奉納兜で櫃の上に乗せて飾るタイプなので、台屏風の全体の高さは50cmあります。
屏風のサイズを目安にして、実際に部屋の中に置いてみた時のことをイメージしてみましょう。
櫃の上に乗せない毛せんやお盆の上に直接乗せて飾る飾り方は、屏風を小さく出来るので、飾るスペースをコンパクトにしながらも兜を大きく出来るので豪華に飾ることができます。


屏風を置くのはなぜ?


屏風が登場したのは奈良時代よりも前と言われ、もともとは「風を防ぐ物」という意味の言葉でした。当時の貴族の家は壁が無く、風を遮る以外にも屏風を使って部屋を区切ったり、裏で服を着替えるなど目隠しとしても使う便利な物だったのです。
五月人形や雛人形にもよく使われる「金屏風」は、昔から高貴な人の背後に置かれ、光り輝くことで特別な存在をアピールする演出効果がありました。また、悪霊は金色に光る物を嫌うと言われ、魔除けや邪気を祓う効果があるとされた事も理由のひとつです。
金色に限らず、後ろに屏風があることで背景が均一になりますので、前にある物を引き立てるという視覚効果が生まれます。


省スペースタイプなら三曲がオススメ


屏風は本来、折り曲げることで自立させるため、6枚や4枚といった偶数の面でできているのが基本とされているのですが、三面鏡のように3枚でできている屏風もあります。これは、人形のような物の後ろに置くのに適した屏風で、枚数が多い屏風に比べて少ないスペースで自立させることができるのが利点です。
五月人形によく使われている2枚からなる二曲屏風は、戦国時代に生まれたと言われています。斜めに開くことで自立するため、三曲屏風に比べて若干奥行きが必要になる場合があります。奥行きがあまり取れない場所に飾るなら三曲屏風がオススメです。

空間を演出するための屏風


屏風は空間を区切る役割のほか、その場に別の雰囲気の空間を作り出す事もできます。室町時代以降になって屏風には絵が描かれるようになり、観賞用の美術品としても注目されるようになりました。
五月人形の屏風にも龍や虎など立身出世を意味する絵柄や縁起物が描かれている物が多く見受けられますが、その屏風と五月人形が置かれている空間を勇壮な雰囲気に演出するために重要な効果を担っているのです。


こちらは間口(横幅)50×奥行45×高さ61cmの13号兜飾りですが、分かりやすくするために台屏風を置かない時の写真を並べてみました。
一目瞭然で全体の雰囲気が全く違うのが感じられると思います。
龍の絵が描かれた屏風が背景にある事で、奥行きが感じられ、映画のワンシーンのような勇壮な世界観に包まれます。これが屏風の役割と視覚効果の一例です。

飾る部屋の雰囲気やインテリアとの調和を考えて



こちらは同じサイズの徳川家康モデルの12号兜飾りですが、台屏風が黒塗りと木目調の2種類から選べるようになっている五月人形の一例です。左側の黒塗りの台屏風の方は高さが51cm、右側の木目調の方は65cmありますので、見た目の大きさや雰囲気がかなり違って見えるのがお分かりになるでしょう。
黒は他の色に比べて引き締まった印象を与えますし、木目調はナチュラルで明るい印象になります。屏風ひとつで五月人形の雰囲気や印象は全く変わりますので、飾るお部屋の雰囲気や周囲のインテリアとの調和も考えて決める必要があります。

さいごに



普段何気なく見慣れている屏風ですが、五月人形では意外と重要なポイントを握っている事が分かりました。もうひとつ気を付けたい点は飾る場所のポイントとして、見上げるほど高い位置ではなく目線の高さに合った場所が理想的です。また、目線の位置もその分上の方になりますので、店頭で見た時とは見え方が変わる場合もあることを念頭に入れて確認しましょう。
もちろん、屏風を飾らなければいけない決まりがある訳ではありませんし、ご自分で手作りの飾りを添えるのも素敵なことです。お子様の健やかな成長と幸せを願ってオリジナルの五月人形を楽しんでください。
昔から人形で有名な埼玉県さいたま市岩槻区にある人形工房天祥では、豊富な知識を持つ節句人形アドバイザーが皆様のご相談にお答えしています。オンラインでも受け付けておりますので、屏風についてのご相談もお気軽にどうぞ!


※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものと異なる場合があります。予めご了承ください。


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