兜はどちらの親が買うべき?

2023年3月30日

投稿者:



初めての節句を迎えるとき、兜をはじめとする『節句飾りは母方の親が買うもの』という、昔からのしきたりがあるのをご存知ですか?特に関西や九州では現在でも多くの場合、母方の親が購入するのが一般的だという話をよく聞きます。
昭和の中頃までは結婚すると、女性はお嫁さんとして夫側の両親と同居するのが一般的で、気軽に実家に帰ったり、自分の親に会ったりすることが難しかったのです。
なかなか会うことができないお嫁さん側の両親は、娘や孫の顔を見にいくための口実として、男の子の初節句に兜などを購入して持参するようになり、そのしきたりが全国にも広がっていったと言われています。
ただ、各地方によっても違いがあり、現代ではどっちの親が買うのかは明確な決まりがある訳ではありません。

目次


  1. しきたりは地域によってさまざま

  2. 両家で話し合って独自の方法を

  3. 気持ちがこもっていれば、どんな五月人形でもいい

  4. まとめ

しきたりは地域によってさまざま



どっちの親が節句飾りを買うかについては、大きく分けて西日本では母方の親、東海や関東以北、北海道では父方の親が買う、というしきたりが残っているようですが、なぜそのように分かれているのか、はっきりとした理由は分かっていません。
一説によると、西日本は貴族文化の影響を受けているせいだとも言われますが、端午の節句に鎧や兜を飾るようになったのは、もともと武家で後継の男子が生まれたとき、魔除けやお守りの意味を込めて武具を飾ったのが始まりとされていますので、武家文化の影響が強い地域では父方の親が買うしきたりが残っているとも言えそうです。“母方の親が買う派”が圧倒的に多い九州の中で、熊本では“父方の親が購入する派”が多数を占めているというのも、そういった理由からかもしれません。
また、関東圏は日本各地からたくさんの人が移住していますので、いろいろな文化が混じり合っていることから、両家平等に、兜飾りは父方の親、雛人形は母方の親が購入するという話も多く聞かれます。
このように、地域によってしきたりが全く違うので、購入前にしっかり確認しておくと良いでしょう。

両家で話し合って独自の方法を



初孫が生まれるとおじいちゃん、おばあちゃんは嬉しさのあまり、先走ってしまうことがあります。両家にとってどちらも初めての男の子ともなれば、きっと大はしゃぎでしょう。
『昔からのしきたりだから、母方の親が買うのが当たり前』と、「何も相談していないのに、ある日突然、親から立派過ぎる兜飾りが送られてきて驚いた」というケースもよく聞かれます。
実は最近、親に買ってもらうのではなく、自分たちで購入したという方も増えているのです。
兜ひとつを取っても、デザイン、大きさ、飾り方の種類などさまざまなタイプのものがあり、お部屋の雰囲気、飾るスペース、収納スペースに合わせて納得のいく五月人形を購入したいという考えからです。
また、『どうしても援助したい』という親の意見を汲んで、お金だけ負担してもらうとか、コンパクトな五月人形を先に用意しておいて、室内用の鯉のぼりや脇飾り、名前旗などを両家の親にそれぞれ購入してもらうなど、トラブルにならないように分担して購入するケースも聞かれるようになってきました。
現代では古いしきたりを押し付けると家族間のトラブルにも発展しかねないので、後々しこりを残さないよう、両家でよく話し合って双方が納得のいく方法を選ぶことです。

気持ちがこもっていれば、どんな五月人形でもいい



端午の節句は別名、菖蒲の節句とも言われ、起源とされる宮中行事では初夏に旬を迎える葉菖蒲(花が咲く菖蒲とは別)を薬の代わりに使って邪気を払っていました。
それが後に武士の間で尚武(武芸を尊ぶこと)と同じ発音であることから、武具や鎧兜を飾る行事へと変化していったのです。
また、時期が重なることから葉菖蒲だけではなく、花菖蒲も五月人形に添えられるようになり、今でも定番のアイテムになっています。
逆に昔は定番だった軍扇・陣笠・陣太鼓の三品、瓶子・柏餅・粽の三宝などは、スペースの問題もあって現代ではあまり見られなくなっています。つまり、端午の節句に飾る物は“絶対にこれじゃなければいけない”というルールは無いのです。
最近は、オリジナルの鯉のぼりやタペストリーなどを手作りして、兜などと一緒に飾り付けた様子をSNSに投稿している方をよく見かけますが、親が愛情をこめて飾る節句人形こそが本来の姿だと言えます。
ですから、どちらの親が買うか、ということにとらわれることなく、各ご家庭の事情に合わせて、いちばん良い方法で祝ってあげてください。

まとめ



お父さんは関東出身、お母さんは九州出身のご夫婦が初節句の際、どちらの両親が節句飾りを購入するかで揉めた、といった経験談もありました。
『うちで買いたい』という積極的な話ではなく『あちらが買うべきだから』とか、『うちが買うべきではないから』とお互いに牽制し合って雰囲気が悪くなる、といった話もあるので、普段からそれぞれコミュニケーションを取ってよく相談しておくことをお勧めします。


※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものと異なる場合があります。予めご了承ください。


みんなに人気の記事

新着記事

関連コラム