五月人形は誰が買うもの?

2023年4月4日

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「五月人形は誰が買うもの?」と聞かれて、即答できる人は意外と少ないのではないでしょうか?
主に西日本ですが、五月人形や雛人形などの節句飾りは昔からなぜか『母方の親が買うもの』というしきたりがあるそうです。
その理由としては、昔は結婚して夫側の両親と同居している娘には気軽に会うことができなかったため、顔を見に行く口実として、母方の親が購入する習慣が広まったのだと言われています。
現代のようにスマホやインターネットも無い時代、嫁いだ娘や孫に会いに行くには何か大事な用事を作る必要がありました。そのため、初節句に母方の親が節句飾りを購入して、娘の嫁ぎ先に持参するというしきたりが生まれたのだと考えられています。
一方で『父方の親が買う』のがしきたり、という地域もあります。主に北海道や関東、東海では父方の親が購入する習慣が根強く、鎧兜など男の子に関する節句飾りは父方の親、雛人形など女の子の節句飾りは母方の親、と平等に負担するケースもあるようです。

目次


  1. 端午の節句に鎧兜や五月人形を飾るのはなぜ?

  2. 初正月って何?

  3. 現代では母方の親が買うとは限らない

  4. オリジナルの節句飾りを楽しもう

  5. まとめ

端午の節句に鎧兜や五月人形を飾るのはなぜ?



端午の節句は、もともと奈良〜平安時代の宮中で決められた五節句のうちのひとつです。中国から伝わった暦をもとに、一年の中で1月1日、3月3日、5月5日のように奇数が重なる日は季節の変わり目で体調などを崩しやすいことから、旬の植物を使って邪気を祓い、ご馳走を食べて健康長寿を祈念する日でした。
端午の節句には、春から夏にかけて旬を迎える葉菖蒲が薬草として使われたことから、別名「菖蒲の節句」とも言われます。葉菖蒲が持つ爽やかな香りは魔除けの効果があるとされ、今でも菖蒲湯に入る習慣が残っています。
鎌倉時代になって武士が権力を持つようになると、菖蒲=尚武(しょうぶ)という意味から、武家の間で男の子が生まれると五月人形として鎧兜や武具を飾る習慣が生まれました。梅雨の前で鎧兜を干す時期とも重なるからという説もありますが、江戸時代前半までは五月人形として鎧兜を飾ることが許されたのは武士のみでした。
江戸時代は平和な時代が長く続いたため、武士に代わって徐々に商人が力を持つようになり、鯉のぼりや武者人形をはじめ、誰でも自由に飾ることができる五月人形がたくさん生み出されました。本物の鎧兜を飾り始めたのは鎌倉時代の武家ですが、現代に伝わる五月人形の多くは江戸時代に生まれたものです。

初正月って何?



現代では赤ちゃんが生まれて、1年後の誕生日に満1歳になりますが、昔は生まれた時点で1歳、初めてのお正月を迎えるとそこで1歳加えられ、2歳となりました。数え年と言われる昔の習慣です。
医療が発達していなかったため、無事に早く成長して欲しいという願いから、生まれて初めてお正月を迎えることは歳を重ねることと同じくらい、おめでたいこととされたのです。
初正月には昔から男の子は破魔弓・破魔矢を、女の子は羽子板を飾る風習があります。
破魔弓・破魔矢は、魔(邪悪なもの)を破る=厄除けの意味があります。羽子板は、羽根を打ち返すことから、災厄を跳ね返すという意味が込められているそうです。
きっと昔から初正月のお祝いも、母方の親が嫁いだ娘や孫に会いに行く口実にしていたのではないでしょうか。いずれにしても、かわいい孫のために何かお祝いをしたい気持ちは昔も今も同じです。

現代では母方の親が買うとは限らない



昔は結婚すると、お嫁さんとして夫側の家の人間になるという考え方が一般的だったので、気軽に両親に会うこともできませんでしたが、現代ではそのようなことも無くなっていますので、母方の親が買わなければならない理由はありません。
九州出身の方と関東出身の方のご夫婦の場合、どちらの親が節句飾りを購入するかで意見が異なり、雰囲気が悪くなってしまったりするトラブルも起こりがちです。
ご自分が欲しいタイプの五月人形を事前にお知らせしておくのもいいかもしれません。また、両方の親にそれぞれ購入して欲しい節句飾りをリクエストするのもトラブルを防ぐのには効果的です。
昔のしきたりにとらわれることなく、各ご家庭にいちばん合った購入の仕方をよく話し合ってみることをお勧めします。

オリジナルの節句飾りを楽しもう



武家が飾りはじめた武具や鎧兜、吹流しや幟旗に始まり、端午の節句に飾るアイテムは時代の流れとともにさまざまに変化しています。
もともと宮中で使われていた葉菖蒲も江戸時代までは厄除けの飾りのひとつでした。同じ時期に花が咲く花菖蒲も五月人形の脇役としていつの間にか定番のアイテムになっています。
また、江戸時代には節句人形が大流行し、人気の歌舞伎役者が演じるヒーローの武者人形がたくさん作られました。武者人形の定番とされる金太郎などもそのひとつです。
実は、五月人形には決められたルールはなく、それぞれの家庭で自由に飾って楽しんでいいのです。
最近ではSNSなどにオリジナルの飾り付けの写真を投稿される方も増えていますが、愛情のこもった手作りの飾りも加えてオリジナルの端午の節句を演出するのも素敵なことです。

まとめ


現代も続いている『節句人形は母方の親が買うもの』というしきたりは、娘や孫の顔が見たいと願う親の愛情から生まれたものでした。
いつの時代も親が子どもを想う気持ちは同じです。遠慮なく自由に会うことができるようになった時代だからこそ、普段から親族内でコミュニケーションを大事にしていきたいものです。


※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものと異なる場合があります。予めご了承ください。


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