童謡に出てくる「お雛様とお内裏様」とは?飾る意味と役割

ひな祭りにはかかせないお雛様とお内裏様とは?

ひな祭りの時期になると、よく耳にするうれしいひなまつりですが、何故、お雛様とお内裏様がひな祭りにかかせない存在になったのかご存知ですか?
自分が親になり、雛人形を飾ろうと思った時にお雛様やお内裏様本来の意味や飾る理由を知らないという方も多いのではないでしょうか?
今回は、お雛様とお内裏様の飾る意味と役割について詳しくご紹介します。

ひな祭りの定番「うれしいひなまつり」

「ちいさい秋みつけた」などの作曲家で知られるサトウハチローが作詞をした「うれしいひなまつり」はひな祭りの定番ソングとして幅広い世代に親しまれています。
1番から4番までで構成されている歌詞や情景を想像し、用語などについて着目してみると、ひな祭りへの理解が深まります!
歌詞の中で「お内裏様とお雛様ふたり並んですまし顔」とふたりが並んでいる様子が歌われていますが、実は、お内裏(おだいり)と表現されている歌詞にはお内裏様とは違う意味がありました。その内容について詳しくご紹介します。

お内裏とは?

内裏(だいり)とは、天皇陛下が住む御殿で皇居のことをいいます。
平安京の内裏は、南に紫宸殿(ししんでん・即位の礼などが行われた場所)や西に清涼殿(せいりょうでん・天皇陛下が日常を過ごした場所)、北に弘徽殿(こきでん・皇后陛下が日常を過ごした場所)などの後宮関係の建物と回廊で繋げて、築地(ついじ・板と土で作られた塀)で囲まれていました。
つまり、「お内裏様」という表現は一人ではなく、天皇陛下・皇后陛下のふたりの姿を表しているのが正解です。

うれしいひなまつりの解説

1番

「あかりをつけましょぼんぼりに お花をあげましょ桃の花 五人ばやしの笛太鼓 今日はたのしいひなまつり」
ぼんぼりに明かりを灯して桃の花を飾り、五人ばやしが演奏し、楽しそうなひな祭りの情景が表現されています。

2番

「お内裏様とお雛様 二人ならんですまし顔 お嫁にいらした姉様に よく似た官女の白い顔」
お内裏様とお雛様がすました顔で座っている様子を表し、三人官女の内の一人は女の子の先に嫁いだ姉に似ていて色白だと歌われています。

3番

「金のびょうぶにうつる灯を かすかにゆする春の風 すこし白酒めされたか あかいお顔の右大臣」
金の屏風に映った灯りが春風に揺らめく姿を表し、右大臣はお酒を飲んで酔っ払っている様子です。

4番

「着物をきかえて帯しめて 今日はわたしもはれ姿 春のやよいのこのよき日 なによりうれしいひなまつり」
ひな祭りの主役である女の子に視点が移り、3月3日が女の子にとって特別な日だと表現されており、晴れ着に着替えてうれしい気持ちが現れています。

お雛様とは?飾る意味と役割

お雛様とは雛人形の中で女雛を表していて、平安京の十二単(じゅうにひとえ・昔の女性の装束)を着た皇后陛下を模して作られたと言われています。
お雛様をなぜ飾るようになったのか、その始まりについてなど知っている方は少ないと思います。
お雛様にはどのような意味や想いが込められているのか?意味と役割、衣装についてもご紹介します。

飾る意味は?

昔は、赤ちゃんの死亡率が高く子供が無事に成長できるかどうかわかりませんでした。
そのため、その汚れを移す身代わりとして人形を子供の枕元に置き、災いをはらう習慣がありました。身代わりの人形には天児(あまがつ・立ち姿をした人形)や這子(ほうこ・はっている姿のぬいぐるみ)があります。
また現在の雛人形の原型となった「立ち雛」は厄をはらい水や川に流した「ひとがた」を立体的にしたものが由来と言われています。
時代が進むにつれて、雛人形は立派で豪華絢爛なお祝いになっていき、雛人形を川へ流すのではなく飾ることで厄をはらう習慣へと変化しました。
このような背景から、お雛様には子供が健やかに育ち幸せになってほしいという両親からの願いと祈りが込められています。

役割は?

我が子の誕生は、神さまからご両親への贈りものです。祖父母やご両親から女の子へ愛情を伝える手段として、幼い頃から心に愛情を芽生えさせ、育み、お雛様から「ひなぢから」(人々に生きる希望や勇気を与える力)をもらってほしいとう意味も込めて贈りものとして昔から受け継がれてきました。
その贈りものを受け取った女の子が大きくなり、また同じように次の世代へ伝統を繋いでいくことでしょう。

お雛様(女雛)の衣装について

お雛様が身にまとっている十二単ですが、幾重にも重ね着をする様子を「十二」という数字で表しています。
一般的に十二単は当時最もフォーマルな服装とされていた「五衣唐衣裳(いつつぎぬからぎぬも・宮中での十二単の呼び名)」を表すことが多いようです。
上から着る順番をご紹介します。
・下着として小袖(こそで)を着る
・赤色系の長袴(ながばかま)を穿く
・小袖の上に単(ひとえ)薄手の着物を着る
・袿(うちぎ・昔の女性の上着)を着用する
この袿の色目のコンビネーションのことを襲の色目(かさねのいろめ)と呼んでおり、当時の服装の中では最大のおしゃれポイントでした。
色の重ね方で季節を表現したとも言われており、お雛様の襟や袖口を美しく彩っています。
さらに、袿の上に表着(うわぎ)を着て、その上に唐衣(からぎぬ・正装時の着物)を着用し、後ろの腰あたりに「裳(も・腰から下にまとう衣)」を付ければ完了です。

お雛様(女雛)の小道具について

お雛様が手に持っているものは、檜扇(ひおうぎ・槍か杉の板で作った扇)と言い、松や鶴などの絵が書かれています。
また、上流階級の女性はみだりに顔をさらすのを避けるために顔を隠したり、宮中行事の作法などを書いたメモを貼り付けたりといった役割もあったそうです。

お内裏様とは?飾る意味と役割

お内裏様とは雛人形の中で男雛を表していて、天皇陛下のお姿を模していると、言われています。
お雛様と一緒で飾る意味と役割はお内裏様も同様なのでここでは、衣装と小道具についてご紹介します。

お内裏様(男雛)の衣装について

男雛の衣装で最も代表的なのが、黄櫨染御袍(こうろせんのごほう・重要な儀式で着る装束)で、この装束は昔から現在へと血を受け継いだ天皇陛下だけがお召しになることができる伝統と格式高い絹織の衣装です。
主に、櫨(はぜ・はぜの木)や蘇芳(すおう・まめ科の小高木)の自然染料を使って、茶色のような黄褐色(おうかっしょく)に染め、模様には桐・竹・鳳凰・麒麟が織り込まれました。
この黄櫨染(こうろせん)の衣装の色は輝く太陽を表しており、天皇陛下にのみ使われることが許可された色です。
また、衣装の着用の方法には「高倉流」「山科流」といわれる決まりにそった着せつけ方があり、それを参考に男雛は制作されています。

お内裏様(男雛)の小道具について

男雛の小道具ですが、まずは冠(かんむり)です。
冠の上の方に真っすぐ立っている部分は纓(えい)呼ばれており、これが垂直に立つものは天皇陛下の位を意味しています。まさにお内裏様は、天皇陛下をイメージして作られました。
手に持つ、笏(しゃく)は、いちいの木で作られています。上位の人が持つものとして厳格の象徴とされています。
腰には太刀(たち)を持ち、日本刀より古い時代に使われていた太刀が基本です。
その他には、石帯(せきたい・黒い皮の帯)につるす魚帯(ぎょたい・鮫の皮でできた魚の飾り)があります。

お雛様とお内裏様の意味を知って雛人形を飾ろう

今回は、お雛様とお内裏様にまつわる意味や由来をご紹介しました。
意味を知ることで毎年の雛人形飾りも楽しくなり、お子様が成長した際にはお雛様を飾る意味を伝えながらお祝いするのも良いでしょう。