なぜ鯉のぼりを飾るの?その由来とは?

2023年3月22日

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♪屋根より高い〜で有名な童謡「鯉のぼり」に歌われているような自宅の庭に鯉のぼりを飾る光景は、昭和の時代には都心でもよく見られたそうです。
今でも田舎の方では庭に飾る家もあるようですが、大きな鯉のぼりを飾ることが難しくなっている昨今では、現代風にアレンジされたミニサイズの鯉のぼりや名前旗を五月人形などと一緒に室内に飾って楽しむ方が増えています。
なぜ端午の節句(5月5日)に鯉のぼりを飾るようになったのでしょうか?
意外と知られてないと思いますが、その歴史を調べてみると、鯉のぼりが広く一般的に飾られるようになったのは庶民文化が花開いた江戸時代のことだそうです。

目次


  1. 端午の節句(菖蒲の節句)とは?

  2. 鯉のぼりが生まれた時代背景

  3. なぜ鯉?登竜門伝説が由来

  4. 室内でも飾れる鯉のぼりの紹介

端午の節句(菖蒲の節句)とは?



話は奈良〜平安時代の貴族社会にまで遡ります。既に遣隋使や遣唐使が中国へと派遣され、日本には様々な文化・文明が伝わって来ていました。
特に暦が伝わったことで、宮中では一年の中で奇数が重なる1月1日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日を季節の節目の日「五節句(ごせっく)」と定め、行事の日としたのです。
現代でも「桃の節句」や「端午(たんご)の節句」という言葉がよく使われますが、もともとは五節句のうちのひとつで、特に子どもが対象ということではなく、医療が発達していなかった当時、体調を崩しやすい季節の変わり目に旬の植物を使って邪気を払い、旬のご馳走を食べて健康長寿を祈念する日だったのです。
端午の節句には邪気を払う植物として爽やかな香りがするサトイモ科の「葉菖蒲」が使われました。昔から菖蒲の葉が持つ強い香りは邪気を払う力があるとされ、血行促進や疲労回復などにも効果がある薬のような使い方をしていたようです。そのため、別名「菖蒲の節句」とも言われるのです。
その後、鎌倉時代になって武士が権力を持つようになると、菖蒲=尚武(しょうぶ)という語呂合わせから、男子の誕生を祝って武具や鎧兜を飾る行事に変化していきました。

鯉のぼりが生まれた時代背景


戦国時代が終わり、徳川家康が天下統一を成し遂げて江戸時代が始まると、それまでは高貴な人々だけが行ってきた節句行事の風習は徐々に一般庶民にまで広まっていきました。

1687年(貞享4年)井原西鶴,岡田三郎右衛門[ほか1名]『武道伝来記 8巻 [2]』(国立国会図書館所蔵)
「国立国会図書館デジタルコレクション」収録
(https://jpsearch.go.jp/item/dignl-2554416)

上の絵は江戸時代前半に井原西鶴が書いた武道伝来記の中の挿絵です。この絵を見ると、家の外にたくさんの幟旗や薙刀などの武具が並んでいるのが分かります。中には兜のような物も見えますが、江戸時代の武家の五月人形の飾り方はこんな感じだったようです。
しかし、本物の武具や鎧兜を飾ることができたのは武士のみで、一般の町民には許されませんでした。
平和な世の中が長い間続いたせいで武士が活躍する場が無くなり、その反面、商人たちが力を持つようになっていた江戸時代には、庶民が自由に飾ることができる新しい節句飾りが続々と作られるようになったのです。
代表的なものとして挙げられるのが、武士の吹き流しや幟旗を真似て作られた鯉のぼりです。
それ以外にも当時流行していた歌舞伎の演目や伝説に基づいたヒーローをモチーフにした武者絵飾り、武者人形が盛んに作られました。もしかすると現代のフィギアのような感じだったのかもしれません。
今でも五月人形の定番とされる金太郎や桃太郎、鍾馗といった武者人形も江戸時代に生み出されました。

香蝶楼国貞,佐野喜『端午の節句』(国立国会図書館所蔵)
「国立国会図書館デジタルコレクション」収録
(https://jpsearch.go.jp/item/dignl-1305289)

なぜ鯉?登竜門伝説が由来


鯉のぼりが江戸時代に商人たちの手によって生み出されたことは分かりましたが、なぜ鮒や鱒ではなく、鯉だったのでしょうか?
鯉はもともと日本では馴染み深い魚で見栄えが良いからとも推測できますが、登っていく魚なら鮭でも良かったのでは?と思ってしまいます。でも実はもっと分かりやすい理由があったのです。
昔から中国には、大陸の中央を流れる黄河の上流の『竜門山の急流を登りきることができた鯉は龍になる』という伝説があり、その話を元に吹き流しに鯉の絵を描いたのが始まりだと言われています。
また、出世するために通る門を指す「登竜門」という言葉もこの故事から生まれたということで、子どもの立身出世を願う意味も込められたものとされているのです。
鯉が水しぶきをあげて急な滝の中を登っていく様子は、ダイナミックな絵柄を好む浮世絵などにも多く用いられた人気の題材だったようです。

室内でも飾れる鯉のぼりの紹介


鯉のぼりが生まれた歴史的背景を知ると、節句人形自体は、江戸時代に商人たちが新しい飾りをたくさん生み出したのと同じように、子どもの健やかな成長と幸せを願う親心が込もっていれば、時代背景や社会情勢などによって自由にアレンジして飾って良いものなのだということが分かります。
そこで、室内用のオススメ商品をいくつかご紹介します。


木製の優しい雰囲気で、どんなお部屋にも合わせやすいのが特長です。コンパクトで飾る場所を選ばないので、五月人形の側に置くこともできます。


五月人形に合わせて飾ると華やかさが増します。単体でもインパクトがあるので、お祝いの品としてもとても喜ばれます。


鯉の滝登りの絵柄が入った名前旗は、鯉のぼりの役目も担った立身出世を象徴する縁起の良い節句飾りですので、五月人形と一緒に飾ると一層豪華になります。

現代の住宅事情では、昔ながらの大型の鎧兜や鯉のぼりを飾ることは難しくなっていますが、その代わりに室内用の鯉のぼりや名前旗を一緒飾ることで同じくらい豪華に、華やかに演出することができますので、ぜひお子様と一緒に飾り付けを楽しんでほしいと思います。


※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものと異なる場合があります。予めご了承ください。


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