省スペースで豪華。欲張り雛人形なら三段飾り!

2021年11月28日

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雛人形を選ぶ時、真っ先に考えるのは『どこに飾ろうか』ということではないでしょうか。昭和の好景気に沸いた時代には、半畳以上の大きさの段飾り雛人形が飛ぶように売れたと言いますが、それはもう過去の話。
今では、できるだけコンパクトでありながら、見栄えのいい雛人形が主流の時代です。
小さくても上質な素材を使い、現代の部屋にも馴染みやすいモダンなデザインの雛人形に人気が集まっていますが、『男雛・女雛だけの親王飾りでは物足りない、やっぱり飾る時も楽しみたい』という方にぜひお勧めしたいのが、三段飾りの雛人形です。
三段飾りと言っても、その内容はさまざまです。男雛・女雛と三人官女+お道具という組合せもありますし、男雛・女雛と三人官女、五人囃子まで加わった物など、コンパクトでありながらバリエーションが豊富で、雛人形の醍醐味を十分味わえるのが魅力です。

目次


  1. 雛人形は大きく分けて2種類

  2. コンパクトにこだわるなら木目込み雛人形

  3. 横幅60cm前後なら衣装着雛人形の三段飾りもオススメ

  4. 三段飾り雛人形でも片付け楽々、収納機能付き

  5. コンパクトなケース入りの三段飾りも

  6. まとめ

雛人形は大きく分けて2種類


現代の雛人形は製法の違いから大きく衣装着雛人形と木目込み雛人形の2種類に分けられます。
雛人形の原型が登場したのは平安時代の朝廷文化と言われていますが、その後1,000年近くもの間は厄除けのための身代わり人形としての役目が強く、現在のような雛人形とは全く違った物でした。

左:『天児(あまがつ)』(東京国立博物館所蔵)
「ColBase」収録
(https://jpsearch.go.jp/item/cobas-86035)
右:『這子(ほうこ)』(東京国立博物館所蔵)
「ColBase」収録
(https://jpsearch.go.jp/item/cobas-85992)

今の雛人形のような形態になったのは、京都から江戸にひな祭りが伝わったことで同時に江戸の街中に雛人形を売る市場や人形屋がたくさん立ち並び、雛人形が大流行した後のことです。
さまざまな人形師によって新しい形の雛人形が次々に作られました。三人官女や五人囃子が新たに登場したのもこの時代で、衣装着雛人形の原型と言われる、ガラス玉の目が入った古今雛が作られています。

末吉石舟作『古今雛』(東京国立博物館所蔵)
「ColBase」収録
(https://jpsearch.go.jp/item/cobas-86250)

一方、木目込み人形の起源は、京都の上賀茂神社に仕えていた高橋忠重が柳の木で彫った人形に布を貼って作った物だと言われており、後に加茂人形とも呼ばれました。丸みをおびた身体がどこかユーモラスな印象の木目込みの技法が江戸へと伝わり、江戸木目込み人形として発展する中で雛人形も作られるようになりました。

コンパクトにこだわるなら木目込み雛人形


どちらの作り方も近年ではコンパクトな雛人形が増えていますが、木目込み技法の方はもともと小さい人形を作るための技法だったこともあって、現在でもかなり小さいサイズの木目込み雛人形が豊富に見られます。
お顔立ちも笹目と呼ばれる、筆でさっと書いた目が特徴的でしたが、昨今ではガラス玉の目を入れたパッチリとしたタイプも増えています。


木目込み雛人形の三段飾りの特徴は、置く場所を選ばないほど小さいのに内容がとても充実している点が挙げられます。例えば横幅が約40cmの飾り台の中に手のひらサイズの男雛・女雛、三人官女、五人囃子全員と油
灯や桜橘まで網羅できてしまいます。しかも衣装着雛人形に引けを取らないほど華やかです。もちろん、収納スペースも少なくてすみます。


こちらも木目込み雛人形で、飾り台の横幅は50cmとコンパクトでありながら、左大臣や右大臣、仕丁まで総勢15体が余裕で並べられます。省スペースと見応えが両立できるのは木目込み雛人形の三段飾りです。

横幅60cm前後なら衣装着雛人形の三段飾りもオススメ


江戸時代後期にはますます雛人形ブームが過熱し、次郎左衛門雛や享保雛といった1体の大きさが50cm以上もあるような大型の衣装着雛人形が登場しました。幕府は度々、華美な物や大型の雛人形に対して禁止令を出したため、小型化に拍車がかかると同時に細密な衣装を施した衣装着雛人形へと発展していったのです。
衣装着雛人形の魅力は何と言っても衣装の艶やかさではないでしょうか。ため息が出るような彩りと丁寧に着付けられた衣装の美しさは人形師の腕の見せ所でもあります。


最近では豪華な衣装着雛人形もコンパクトな物が主流になっています。中でも横幅が60cm前後の三段飾り雛人形は親王だけのタイプに比べ、三人官女やお道具がプラスされた分、やはり断然華やかな雰囲気になりますし、飾るスペースは段飾りの大型雛人形の3分の2くらいと省スペースなのも魅力です。コンパクトでありながら大型の雛人形に負けない華やかさを求める方にはお勧めです。

三段飾り雛人形でも片付け楽々、収納機能付き


「飾り付けるのは楽しくていいんだけど、片付けるのが苦手で…」という声をよく聞きます。そんな方のために最近お勧めなのが、飾り台の中に雛人形一式が収納できるタイプの三段飾りです。
このタイプの特徴は、飾り台が家具調になっている点で、どんなインテリアにも合わせやすく高級感溢れるデザインの物が多く見受けられます。
上段に男雛・女雛、二段目に三人官女、三段目にはお道具のパターンが多いようですが、段差が十分あるので、それぞれの人形が重なることなくよく見えるのも嬉しい点です。


コンパクトなケース入りの三段飾りも


都市化が進んだ昨今ではマンションなどの住宅事情を反映して、ケースに入った雛人形の人気が高まっています。コンパクトであるのと同時に埃などの汚れから守ることができるため、お手入れが簡単な点や飾る時も片付ける時もワンアクションで済む点が高い評価を受けているようです。また、室内でペットを飼われているお宅でも安心して飾ることができるため、ケース入りの雛人形を選ぶ方が増えています。


ケース入りの雛人形も需要の高まりで、今まで以上に上質で本格的な三段飾りなど、さまざまなタイプが登場していますので、手軽に飾りたい方にはお勧めの雛人形です。

まとめ

昔は雛人形はセットでは売られていませんでした。厄除けの身代わり信仰がまだ強く、嫁入り道具のひとつとされていた時代には、お母さんが持ってきた親王飾りに娘用の雛人形を買い足して飾ったりもしていたようで、田舎の旧家にたくさんの雛人形が飾ってある光景を見たことがある人も多いでしょう。
でも、現代ではお子様の健やかな成長と幸せを願って飾るものですので、ご自分やお子様が気に入ったものを吟味して購入されるのが一番です。三段飾りの雛人形は、他のタイプに比べてコストパフォーマンスの点でとても優れていると思います。特に華やかさを求める方にはお勧めです。

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