五月人形のダントツ人気は兜!飾り方にも注目

2022年2月1日

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五月人形にはいろいろな種類の飾りがありますが、大きく分けて鯉のぼりに代表される「外飾り」と、鎧兜や武者人形、子ども大将などの「内飾り」の2種類です。
内飾りの中でも兜飾りは、数年前から続く戦国武将ブームの影響もあって特に人気が集まっていますが、詳しい名称や飾り方などをご存知ない方も意外と多いようです。
ここでは兜の基本的な飾り方をはじめ各部の名称や兜にまつわる話などを説明していきます。

目次


  1. 兜の正しい飾り方を知ろう

  2. 兜飾りが登場したのは鎌倉時代

  3. 兜について詳しく解説

  4. さいごに

兜の正しい飾り方を知ろう


五月人形の兜にはさまざまな素材が使われています。中でも特にデリケートなのが和紙や絹繊維で、湿気や高温は劣化をもたらすだけではなくカビの原因になります。また、直射日光も色褪せや劣化の原因となりますので、避けてください。
従来は和室の床の間が最適な場所とされていましたが、最近の住宅には床の間が無い場合も増えていますのでリビングや子供部屋などが最適です。方角などの決まりはありませんので、風通しが良く直射日光が当たらない場所を選んで飾りましょう。
あらかじめ飾る場所を決めておいて、その場で組み立てます。金属を使用している部品がある場合は皮脂や汚れが付かないように手袋をします。
飾り方の手順は以下の通りです。飾り台や屏風が付いているタイプの場合は先に設置しておくと飾りやすいでしょう。


1.櫃の上、中央に芯木を置きます。
2.芯木の上から袱紗をかけます。前面の中央に角が垂れるようにバランスよくかけましょう。
3.兜に鍬形、竜頭などの飾りを付けます。鍬形の左右を間違えないように注意します。
4.傾きに注意しながら兜を乗せます。
5.向かって左脇に弓、右脇に太刀を置きます。太刀は柄の方を下にします。
6.他にお供え物がある場合は全体とのバランスを見ながら周辺に設置します。名前旗は台の上ではなく、向かって右側のやや後方に飾ります。


端午の節句を過ぎたら天気が良く乾燥している日を選んで早めに片付けるようにします。なぜならうっかりしていると梅雨の時期になってしまうからです。
まず毛ばたきを使って全体の埃を払い、兜に差し込んでいた鍬形や竜頭を外して紙に包んで収納します。この時、指紋や皮脂が付かないように必ず手袋をします。
防虫剤は必ず人形用の物を使用してください。金属や金銀糸、プラスティックなどの素材を痛めてしまうこともあるので、用量を必ず守って直接触れない場所に入れるようにします。
また収納する場所についてですが、先にも触れたように湿気や高温、直射日光は大敵ですので、水周りは避けてクローゼットの上の方や押入れの天袋など湿気が少なく寒暖差が少ない場所を選んで収納します。

兜飾りが登場したのは鎌倉時代



端午の節句は、もともとは菖蒲を使って邪気を祓い健康長寿を祈願した宮中行事でした。鎌倉時代以降、貴族に変わって武士が権力を持つようになると、菖蒲と音が同じ尚武(しょうぶ)という語呂合わせから端午の節句に幟旗や武具を飾る風習が武家の間で広まりました。鎧兜が飾られるようになったのもこの時代からだと言われています。
その後、戦国時代が終わり平和な江戸時代になると、庶民文化が発展する中で節句という風習も流行しましたが、幟旗や鎧兜を飾ることが許されていたのは武家のみだったことから、商人たちの間で鯉のぼりや武者人形が生み出され、広く一般に浸透していったのです。明治時代以降は武家も無くなり、誰でも好きな五月人形を飾れるようになりました。

兜について詳しく解説


兜は武士の象徴でもありますが、敵の攻撃から身を守るために必要不可欠な物…つまり「お守り」です。もともと節句とは、季節の変わり目に植物が持つ薬効や生命力を用いて邪気を祓い、健康長寿を祈念する宮中行事でしたから、災厄から身を守るという意味では同じ考え方です。戦国武将たちは、それぞれ鎧兜に宗教的な意味合いを持たせたり、縁起を担いだモチーフを付けたり、お守りとしての効力が存分に発揮するように工夫を凝らしていました。
ここで兜の構造とその名称について簡単に勉強しましょう。


➀鍬形(くわがた)
②前立(まえたて)
➂兜鉢(かぶとばち)
④吹き返し(ふきかえし)
⑤しころ
⑥忍び緒(しのびお)
⑦櫃(ひつ)
⑧ふくさ
となっています。

戦国武将の中でも特に特徴的な兜が人気の武将は、
上杉謙信・・・日輪と三日月を組み合わせた前立が特徴的。古代インドに伝わる戦場の守り神「摩利支天」の象徴とも言われています。


伊達政宗・・・上杉謙信と同じく左右非対称の大胆な三日月の前立が特徴的で、多くの戦国武将が星や月といった天体を神格化し、武運を祈願していたことに由来するそうです。


徳川家康・・・植物のシダの葉があしらわれていることで有名な兜です。常に青々と繁るシダは子孫繁栄や長寿を意味しているとされています。


さいごに



兜は戦いをイメージする人もいると思いますが、同時に身を守る物ですので、五月人形の場合は「お守り」の意味で飾ります。勇壮な兜を見て『かっこいい!』と感じるのは男の子に限りません。大人でも伝統的な芸術性の高さや職人技の見事な仕事ぶりに惚れ惚れとする方も多いのではないでしょうか。
そして、それを被って兵を率いた戦国武将の魅力は、ただ強いだけではなく、人望が厚く部下から慕われる人だったり、冷静でいざという時に頼れる人だったり、現代社会でも理想の上司像と重なる部分があります。将来、我が子にもそういう人間になってほしいという親の願いとも重なるのかもしれません。

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