お内裏様とお雛様は誰がモデル?

2023年6月27日

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お内裏様とお雛様って誰…?モデルはいるの?
ふと、そんな疑問を抱いたことがある方も多いのではないでしょうか。
答えは天皇家の男性と嫁いできた女性で、婚礼の様子を表現したものなので、二人の関係は夫婦ということになります。

目次


  1. 雛人形は宮中の婚礼儀式を模したもの

  2. お内裏様とお雛様は間違い

  3. 知るともっと楽しめる雛人形の豆知識

  4. さいごに

嫁いだ娘が残していった雛人形、どうする?


平安時代、宮中貴族の間では子どもの無事な成長を願って、災厄を避けるために身代わりとして人形を飾る習慣がありました。これが雛人形の起源と言われていますが、現代の雛人形とは全く違い、人の形をしたぬいぐるみのような物でした。男雛・女雛をはじめ、付き人やお道具などを階段状に並べて飾るようになったのは江戸時代以降です。
徳川家康の孫娘が天皇家に嫁いだことで、宮中の文化が大奥に伝わり、後に桃の節句は雛人形を飾るひな祭りとして一般庶民にまで広がっていきました。
もともとは天皇家の先祖である朝廷が発祥とされ、京都の人形師によって宮中での婚礼儀式を模して作られたのが始まりとされています。
その関係で現在でも関西では向かって右側に男雛を置く習慣が残っています。これは、宮中では位の高い方が左側という作法があったことに由来しているそうです。関東では武士文化の影響が強かったことから男雛は向かって左側に置くようになりました。

お内裏様とお雛様は間違い



今から80年以上前に発表された童謡「うれしいひなまつり」に出てくる「♪お内裏様とお雛様〜」という歌詞から、男雛=お内裏様、女雛=お雛様だと思っている人が多いと思いますが、実はこれは間違いです。
内裏(だいり)というのは、京都御所の中で天皇が住んでいたところを指す言葉なので、正しくは男女合わせて「お内裏様」ということになります。同じように「内裏雛」という場合も男女ペアを意味します。
また、「お雛様」という言葉も女雛だけではなく、人形全体を指しますので間違った表現なのです。
作詞を手がけたサトウハチロー(山野三郎という名前の場合もある)は、宮中の言葉を勘違いして作ってしまい、後に全国的に広まってしまったことを生涯悔いていたそうです。

知るともっと楽しめる雛人形の豆知識


子どもの頃から見慣れているはずの雛人形ですが、改めて細かい部分をよく見てみると、ちょっと不思議だったりもします。実は調べてみると、衣装や小物などのひとつひとつに理由やストーリーがあることが分かります。

身につけている物で身分が分かる…束帯という衣装を身にまとった男雛が被っている帽子のような物は「冠(かんむり)」で、上に飛び出した部分を「纓(えい)」と言いますが、ぴんと真っ直ぐに立っているのは天皇である証拠です。他の皇族は纓が後ろに垂れ下がっています。
女性の正装である十二単(じゅうにひとえ)は、正式には五衣唐衣裳(いつつぎぬからぎぬも)と言い、女雛が手に持っている扇子は「檜扇(ひおうぎ)」と呼ばれる高貴な女性が顔を隠すために持っていた物だと言われています。


・従者それぞれに設定がある…三人官女は宮中で働く女性官僚で、左右二人は立っていますが、中央の官女の顔をよく見ると眉毛が無く(薄い場合もある)、口の中が黒くなっています。昔の女性は結婚すると眉を剃り、歯を黒く染める習慣があったことから、中央の官女だけが既婚者であることが分かります。
五人囃子はおかっぱのような髪型をしていますので、まだ少年という設定です。今で言うアイドルグループのような感じでしょうか。
また、俗に右大臣・左大臣と言われている警護役の従者ですが、一人は若者、一人は髭を生やした老人で、こちらも童謡の影響から赤い顔の方が右大臣と思われていますが、実は違います。若くて白い顔の方が右大臣、赤い顔の年寄りの方が左大臣で位もこちらが上になります。
その下に飾る仕丁(じちょう)と呼ばれる三人は雑用係で、地域や時代によって違いがありますが、靴や傘、ほうきや熊手など日常使う物を手に持っています。泣き顔、笑い顔、怒り顔になっているのが特徴的です。

さいごに


雛人形が現代のような形になったのは江戸時代中頃以降のことです。戦が無い平和な世の中が続いたことから武士の権力が衰退し、経済の発達によって商人がさまざまな文化を産み出した時代でした。
もともとは男雛・女雛だけの親王飾りだった雛人形に三人官女や五人囃子などの従者が加わったのもこの時代だと言われています。高貴な人の婚礼儀式に憧れを抱き、さまざまなキャラクターが作られた自由な時代でもあったようです。


※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものと異なる場合があります。予めご了承ください。


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