羽子板を飾るのはなんのため?

2023年8月22日

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羽子板は昔からお正月飾りとして、また女の子の初正月のお祝いに飾る大変縁起が良いものとされています。
でも一体なんのために飾るのでしょうか?それは医療が未発達だった時代から伝わる魔除けのためのお守りだからです。

目次


  1. 医療が発達していなかった時代の魔除け

  2. 実は飾る時期は決まっていない

医療が発達していなかった時代の魔除け



医療が発達していなかった時代、体調を崩しやすい季節の変わり目には邪気に取り憑かれやすくなり病気になると考えられていました。特に小さな子どもが無事に大きくなるまで育つことは難しい事でした。
そのため、子どもが邪気に取り憑かれないように身代わりの人形や縁起の良い物を飾ったりするようになったのです。雛人形や五月人形の起源は、この身代わり人形だと言われています。
約1300年前から宮中では健康長寿を願ってさまざまな行事が行なわれてきました。新年に羽根つきをするのも邪気を祓ったり吉凶を占ったりするためでした。室町時代になると羽子板の形は末広がりという縁起の良い形に、松竹梅など縁起の良い図柄が描かれるようになり、魔除けのために部屋に飾るようになったそうです。


また、羽根の先に付いている黒い玉は無患子(むくろじ)という名の植物の種で、子どもが患わない=病気にかからないという意味があるとされ、この羽根をつくことでカンカン鳴る高い音を魔物は嫌うという説もあったようです。
羽根は別名羽子とも言われトンボを意味する名前でもあります。見た目がトンボに似ているという説もありますが、餌になる蚊などを子どもに近づけない効果があると思われていたようです。
“なんとか子どもを守りたい”…その気持ちからたくさんの縁起の良いこと、魔除けになることが盛り込まれたのでしょう。
庶民が飾るようになったのは江戸時代のことで、立体的な人の顔を付け加えた押絵羽子板が登場したのは節句人形の大流行によるものだと言われています。

実は飾る時期は決まっていない



初正月の羽子板はいつからいつまで飾ったらいいのでしょうか?という質問をよく聞きますが、実ははっきりとは決まっていません。
一般的には12月後半の大安の日に飾り始め、年明けの1月15日の小正月までと言われていますが、お守りなので一年中飾っていてもかまいませんし、もちろん何年飾っていてもかまいません。
最近は女性の顔が付いた物以外につまみ細工やデザインされた羽子板も多く、コンパクトなものが主流になっていますので、お部屋のインテリアのひとつとして気軽に飾れるものが増えています。
お守りなのでリビングや玄関など家族をいつも見守ってくれる場所に飾るのもいいでしょうし、子供部屋に飾ることもお勧めです。
飾ることを卒業するタイミングについては15〜16歳という説がありますが、これは平均寿命が短かった時代に成人の儀式を行った年齢をもとにした話なので、これについても気にする必要はありません。各家庭それぞれでいちばん良いと思われるタイミングで卒業してかまいません。
卒業後、処分する方法については、お住まいの地域の自治体で異なりますが、使われている素材を分別した上でゴミとして処分できます。もし処分するのに抵抗を感じる場合は、少量の塩を振ってお清めをするのも良いでしょう。年末年始に神社やお寺で行っているお炊き上げを利用するのもお勧めです。
本来は一人に対して一つのお守りですので他人に譲ったり、リサイクルショップなどで売ったりするのは避けた方がいいでしょう。


※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものと異なる場合があります。予めご了承ください。


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