女の子の初正月に羽子板を飾るのはなぜ?

2023年8月22日

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赤ちゃんが生まれて初めてお正月を迎えるお祝いを“初正月”と言い、男の子は破魔弓(はまゆみ)、女の子は羽子板を飾ります。
どちらもお守りの意味があり、男の子の場合は武士社会や弓を放つ神事の影響と考えられていますが、女の子が羽子板を飾るのは、羽根つきが宮中の新年行事だった事に由来すると言われています。

目次


  1. 羽子板は魔除けのお守り

  2. 羽子板の種類と変遷

  3. 羽子板の飾り方

羽子板は魔除けのお守り



昔の子どもは、お正月には凧揚げや独楽回し、羽根つきやカルタで遊ぶのが定番でした。特に羽根つきは、失敗すると顔に墨を塗られることもあって、面白かった記憶があります。
お正月に羽根つきをする習慣は室町時代以降、邪気を祓うために宮中で行われていた新年恒例の行事にあやかっているのだそうです。
医療が未発達だった時代には、病気をもたらすのは魔物や邪気だと考えられていたため、さまざまな方法で邪気祓いを行っていました。
羽根つきもそのひとつで、悪いものを払い除け吉凶を占ったり平和祈願をする行事でした。羽根つきに使われる羽子板は縁起の良い末広がり型で、板面にも松や梅などの縁起物が描かれ見た目にも美しいことから、災厄避けのお守りとして、いつのまにか部屋に飾られるようになったそうです。
この行事は主に女性が行なっていたことから、女の子が羽子板を飾るようになったという説もあります。

羽子板の種類と変遷



宮中行事として行われていた羽根つきですが、最初は槌が付いた木製の杖で鞠を敵陣に打ち込むホッケーのような遊びだったものが、長い年月を経て羽子板で羽根を打つ遊びへと変化したと言われています。
平安時代の羽子板の形は先の方の幅が広い末広がり型で、板面には縁起の良い松竹梅や鶴亀などの図柄が描かれていたそうですが、現代でも末広がり型が主流なのは変わりません。
また、羽根の先の打つとカンカンと高い音がする黒い玉は、無患子(むくろじ)という名の植物の種が使われており、音を嫌う魔物が寄り付かず子どもが患わないという意味が込められています。
板状だった羽子板は江戸時代になってから浄瑠璃や歌舞伎の影響を受けて、飾る目的の立体的な押絵羽子板へと変化していきます。
これは、節句人形の流行によって江戸の町にたくさんできた人形屋の技術を活かして作られた芸術品です。
現代でも浅草では毎年羽子板市が開かれています。
最近主流になっているのは人の顔ではなく、つまみ細工などの花をモチーフにした、どんな雰囲気の部屋にも飾れるデザインの羽子板で、取り外しができて髪飾りとしても使えるといった実用的なタイプも登場しています。


羽子板の飾り方



昔からお正月のおめでたい柄としても利用されてきた羽子板ですが、飾り方に何かルールはあるのでしょうか?
例えば初正月の場合年末の12月後半の大安を選んで飾り始め、年が明けて1月15日の小正月を過ぎたら片付けるというのが一般的だと言われています。
12月29日に飾るのは“二重苦(にじゅうく)”で、縁起が悪いと言われていますが、一方で“福(ふく)”だから良いという説も。考え方次第です。
また12月31日は一夜飾りと言い、縁起が悪いこととされています。
しかし羽子板は悪いものに取り憑かれないように飾るお守りですので、一年中飾っていても問題はありません。先のように縁起を気にするのであればむしろ片付けず、ずっと飾っておいてはいかがでしょう。
飾る場所には注意が必要です。ケースに入っている場合でも直射日光が当たる場所は避けてください。
水回りの湿気が多い所やエアコンの風が当たるような場所も劣化の原因になりますので避けた方が良いです。
片付ける時は、できるだけ湿気が少ない快晴の日を選んで収納します。
収納に適した場所も飾る場所と同様に直射日光は避けて高温多湿にならない場所を選んでください。


※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものと異なる場合があります。予めご了承ください。


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