男の子が生まれて初めてお正月を迎える時にお祝いとして飾る破魔弓(はまゆみ)、破魔矢(はまや)ですが何歳になるまで飾るのか決まりはあるのでしょうか?
昔は15歳が成人とされていたことから中学を卒業するまでという説もありますが、実は何歳まで飾らなければいけないという決まりはありません。
目次
破魔弓・破魔矢とは?
太古の昔から弓矢は獲物を取る道具として使われてきました。後に戦いの武器としても使われるようになりましたが、弓を射ることは悪いものを退治するだけではなく的を狙うことで吉凶を占うものとして、また幸運を掴むという意味でも各地で神事などが行われていました。
その歴史は古く日本書紀に弓の神様が登場するほどで、矢を放って一年の邪気を祓う弓神事や馬に乗って走りながら矢を射る流鏑馬(やぶさめ)神事は現代でも各地で続けられています。
破魔弓や破魔矢は文字通り“魔(災いや病気などの悪いもの)”を破る力があるとされ、生まれた子どもが無事に大きく育つように願いを込め魔除けやお守りの意味で飾ります。
また五月人形で人気が高い鎧兜の脇飾りとして弓太刀が添えられていますが、これもやはり災厄を避け身を守る物という意味があります。
年齢にかかわらず魔除けになる
初正月に飾る破魔弓・破魔矢は、通常“正月事始め”と言われる12月13日から “小正月”の1月15日まで飾りますが、冒頭でも触れたとおり魔除けやお守りとして飾るものなので、いくつになってもずっと飾っていても問題ありません。
神社に初詣に行くと社務所で破魔矢を売っていることがあります。これは初正月に飾る破魔弓や破魔矢と同じで、新しい一年の無事を願い、魔除けやお守りとして買う縁起物です。
男の子の初正月に飾る破魔弓・破魔矢のセットとは少し趣が違いますが、飾る意味はほぼ同じです。違うのは神社の場合一年で新しいものに買い換えるという点です。
神社で買った破魔矢は神棚などの高い場所に羽の方を上に矢の先は鬼門の方向に向けて飾るのが正しい飾り方だということですが、同じ意味合いを持つのであれば高級感があるものを長く飾った方がいいのではないでしょうか。
近年はコンパクトでインテリアにも馴染みやすいデザインの破魔弓や破魔矢が増えていますので、大人になってもずっと飾り続けることを考えて選ぶことをお勧めします。
各家庭でベストなタイミングを選ぶ
今のように医療が発達していなかった時代は平均寿命も短かったため、男の子は15歳前後で成人とみなされ、元服(げんぷく)という成人を祝う儀式を行いました。
その風習は明治時代の初めくらいまで続いていたそうで、これによって破魔弓・破魔矢を飾るのは15歳までと言われているようです。
今では成人は18歳〜20歳なので、昔の風習に合わせれば高校を卒業するまでか成人式を迎えるまでになりますが、医療が発達し住宅環境も昔と全く違う現代はそれに捕らわれる必要はありません。
「もう守ってもらわなくても大丈夫だね」というタイミングは各家庭それぞれで判断していいと思います。
例えばひとりで電車に乗って出かけられるようになったとか、自分の部屋の管理がきちんとできるようになったなど、達成感が得られた経験だったり進学や就職で家を離れるなどの節目だったり親子で話し合って決めましょう。
破魔弓・破魔矢の処分方法
では飾らなくなった破魔弓・破魔矢はどうしたらいいでしょうか?
処分する方法をいくつかご紹介しますがまずどんな素材が使われているかを確認する必要があります。
ガラスケースに入っている場合とアクリルケースに入っている場合では処分方法も違ってきます。
自治体のごみ収集に出す
金属が使用されていたりガラスケースに入っているものは、不燃ごみや粗大ごみになりますのでご注意ください。その他の素材が使用されている場合でも自治体によって違いますので、お住まいの地域の自治体の収集方法をご確認ください。
また長年守ってもらったのに最後にごみ扱いするのは気が引ける…という場合には、「今までありがとうございました」と感謝の気持ちを込めて塩でお清めなどをすると良いでしょう。
寄付する
本来は一人につきひとつのお守りとされていますので、他の人に譲ったりすることはお勧めできませんがSDG’sの観点から勿体ないと思われる場合は、地域によっては老人ホームや福祉施設などに寄付するというケースもあるようですので、周辺の自治体に問合せてみてください。
供養してもらう
有料になりますがお寺などで行なっている人形供養を利用する方法もあります。破魔弓・破魔矢は人形とは少し性質が違いますが、簡単に捨てたり譲ったりするのが気になる場合は利用するのもいいかもしれません。