赤ちゃんが生まれて初めて迎えるお正月を特に初正月と言い、男の子は破魔弓(はまゆみ)と破魔矢(はまや)、女の子は羽子板を飾ってお祝いをします。
これらの飾りは昔から母方の親が買うのがしきたりと言われていますが、いったいなぜなのでしょうか?
その理由は嫁いだ娘に簡単に会うことができなかった昔の家族事情によるものでした。
目次
破魔弓・破魔矢とは?
初正月に飾る破魔弓・破魔矢は誰が買うべきなのかについては、実は昔から『母方の親が買う』というのが一般的とされてきました。
しかしそれは昔の話で、時代が変わり核家族化が進んでいる現代では必ずしも守らなければいけないということはありません。
しきたりは地域によっても違いがあり、例えば関西から西の方では現代でも母方の親が買うというしきたりが根強く残っているようですが、東海や関東以北では端午の節句の鎧兜などは父方の親、雛人形などの女の子の飾りは母方の親が買うのがしきたりという地域もあります。
出身地が違うと意見が合わないことがあるかもしれませんので、どちらが買うにしてもトラブルにならないように母方・父方両家の意見をよく聞いてお互い納得して購入することが大事です。
なぜ母方の親?
母方の親が買うというしきたりが一般的になった理由として昔の家族制度の影響があります。
節句行事や初正月といった子どものお祝い事が一般庶民へと広まったのは江戸時代後半のことだとされていますが、当時の女性は結婚すると男性側の家の人間となり男性の両親と一緒に同居するのが当たり前でした。
女性が育った実家は他人とみなされ現代のように気軽に両親に会ったり、実家に戻ったりすることはできなかったのです。
娘や孫の顔を見に行きたい女性側の両親はさまざまな理由を作って会いに行く必要がありました。
そこで孫の初正月や初節句などのお祝い事を口実に、飾り物や節句人形などを持参して会いに行くのが習慣化したと言われています。
また雛人形や破魔弓、羽子板を嫁入り道具のひとつとして持たせるという慣習があったことも母方の親が買うのがしきたりと言われる一因のようです。
各家庭でベストなタイミングを選ぶ
時代の流れとともに核家族化が進み昔ほど親と同居するケースは多くありませんし、家族の形態も変化しています。現代では結婚した後も気軽に両親に会ったり、実家に帰ったりすることができるので、お祝いを口実にする必要は無くなりました。
ですから母方の親が買うべきだという古いしきたりを守らなければいけない理由もありません。
両親と一緒に破魔弓を選びに行くという方も多いですし遠方なのでお金だけを援助してもらう、女性側・男性側の両家で折半するなど最近は各家庭の事情に合わせて、それぞれ自由な買い方をするのが一般的になっています。
どちら側の親が買うかどうかは別として、おじいちゃん・おばあちゃんは可愛い孫のためにいろいろと買ってあげたくなるのが心情なので両家でバランスよく買ってもらうのがいいかもしれません。
どういった買い方をするにしても、日頃から家族間でコミュニケーションをとってお互いが話しやすい雰囲気を作っておくことが大事になってきます。