破魔矢と破魔弓の違いとは?

2023年8月22日

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一般的に破魔矢(はまや)と聞くと新年に神社で売られている物を思い浮かべる方が多いと思いますが、では、初正月のお祝いで飾る破魔弓(はまゆみ)・破魔矢とは何が違うのでしょうか?
同じ“破魔”という言葉が付きますが実はいろいろと違いがあります。一番大きな違いとしては破魔矢は矢のみの縁起物、破魔弓は弓と矢がセットになったお守りの意味をもつ飾り物である点です。

目次


  1. 破魔矢と破魔弓はどう違う?

  2. “破魔”という言葉の由来


  3. それぞれの正しい扱い方

破魔矢と破魔弓はどう違う?


破魔矢も破魔弓も悪いものを追い払う力があるとされていますが、弓が無いと矢を射ることはできません。
つまり弓と矢がセットになっている方が正式で強力だということです。
新年に縁起物として矢だけが売られるのは、邪気を祓う能力を持つ神などが破魔弓で破魔矢を放つ神事を行った“お裾分け”のような意味なのです。
弓矢は太古の昔から狩猟の道具として使われてきましたが、1300年以上前の宮中では新年に弓で矢を射る行事が行われていたとされています。
これは古来弓には邪気を祓う力があると考えられていたためで、他にも弓だけを鳴らす音で邪気を祓う「鳴弦の儀」という儀式は、現代でも皇室に受け継がれています。
的を射るという行為は次第に幸運を掴むことや吉凶を占う行事としても各地で行われるようになりました。
「弓神事(ゆみしんじ)」や「射礼(じゃらい)」と言われ、日本全国の神社などで魔除けの儀式として、また農作物などの収穫を占う儀式として現代でも続いています。馬に乗って矢を射る「流鏑馬(やぶさめ)」も同じような意味合いで行われる神事です。
これらの行事で使われた矢や的を縁起が良い物として関係者に配ることがありますが、神社の破魔矢も同じような意味合いで多くの人に分け与える物だと考えられます。

“破魔”という言葉の由来



文字を見て分かると思いますが、魔を破る=悪いものを退治するという魔除けの意味を表す言葉です。もともと藁や木材などで作られた的のことを「ハマ」と呼んでいたことから、縁起の良い漢字を使って破魔と表記するようになったと言われています。
男の子の初正月のお祝いとして飾られる破魔弓は、無事に大きく成長できるようにという願いを込めて飾る、矢だけの破魔矢よりもグレードが高いお守りなのです。
実は昔から住宅を新築したときの棟上げ式でも破魔矢を鬼門の方角に飾る風習があります。
考え方は同じで新しい家に悪いものが取り付かないようにと願って飾るお守りです。

それぞれの正しい扱い方



破魔弓は初正月に飾るものなので12月後半の大安の日に飾るのが良いとされています。片付けるのは年明け後1月15日の小正月を過ぎてからと言われていますが、そのままずっと飾っていても問題ありません。
飾る場所については諸説ありますが、家族が集まるリビングや玄関、子供部屋など、飾れるスペースに合わせて各家庭で決めてかまいません。できれば目線の少し上になるように飾った方が見栄えも良く、縁起が良いと言われています。ただし直射日光が当たる場所や高温多湿になる場所は劣化の原因になりますので避けてください。
初詣などで購入する破魔矢は、神棚に飾るのが正しい飾り方とされています。最近は神棚の無いご家庭も多いため、こちらも好きな場所に飾って良いのですがやはり目線より高い所が良いと言われています。
ただし、矢の向きには決まりがあり、羽が付いている方を上に向けます。またできれば鬼門や凶方位に矢じりを向けると良いでしょう。
縁起物の破魔矢は1年で新しい物と交換します。古い破魔矢は年末年始に神社に持っていくことで処分できます。


※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものと異なる場合があります。予めご了承ください。


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